空席

今日はあったかい雨が降って君の涙を思い出したよ。
それを見るのが好きだった、なんてね

「白い足首ひるがえして君はどこまで行ってしまうんだろう。
 決してそのまま、振り向いては駄目だよ」


僕は銀色の壁に囲まれて乾いた空を憎んでいるんだ。
影を縫われた今日は置き去りだ…

「君の秘密を知っているんだ。
 涙の味も知っているんだ。
 君のいちばん悲しむことを言おうか…

 今日はなんて良い日だ!」

なんて言って嘘でもいいから慰めて、
君は月のような目で僕を見てた。




こんな風に間違いなく消えていく。
跡形も無く君の泣く声が聞こえなくなる、鮮やかな空席。




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